
院長:佐藤お気軽にご相談ください!


ランニングを楽しんでいたのに、気がついたら膝の横に鋭い痛みが出るようになった。走っている最中や走り終えた後だけでなく、翌朝起き上がるたびにズキズキして、「どんどん悪化しているかも…」と不安になっていませんか?
そういった膝の外側の痛みは、腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)と呼ばれる状態が関係していることがとても多いです。放っておくと日常生活の動作にまで支障が出てきてしまいますので、早めに原因を知っておくことが大切です。
今回は、30年以上にわたって膝の痛みに悩む方々と向き合ってきた経験から、膝の横の痛みが悪化するメカニズムと、改善のために本当に大切なことをお伝えします。


ランニング後や翌朝に膝の横がじわじわ痛くなる、という相談は本当に多いです。湿布を貼って安静にしていたら少し楽になるけど、また走り出すとすぐ再発する、というパターンが非常に多い。それはなぜかというと、「痛みの場所」だけを診ていて「痛みの根っこにある原因」に手をつけていないからなんですね
膝の外側、つまり横の部分に痛みが出る場合、その多くは腸脛靭帯という組織が深く関わっています。腸脛靭帯とは、骨盤の外側から太ももの外側を通り、膝の外側の骨にまで伸びている太くて丈夫な繊維状の組織です。ランニングや階段の昇降など、膝を繰り返し曲げ伸ばしする動作が続くと、この腸脛靭帯が膝の外側の骨と繰り返しこすれ合い、炎症を起こして痛みが生まれます。
最初は走った後に少し張る程度だったものが、次第に走っている最中にも痛みが出るようになり、ひどくなると歩いているだけでも膝の横に違和感を感じるようになります。特に下り坂や階段の下りで痛みが強くなるのが、この症状の特徴のひとつです。
ランニング中は膝の曲げ伸ばしを何千回も繰り返します。そのたびに腸脛靭帯が膝の外側の突起(大腿骨外側上顆)とこすれ合い、少しずつ炎症が蓄積されていきます。走り終えた直後は血流が活発なため一時的に痛みが和らいで感じることもありますが、その後に炎症反応がピークを迎えるため、ランニング後2〜3時間後や翌日になってから痛みが強くなるというわけです。
「走っているときよりも、帰宅して座っていると膝がズキズキしてきた」「翌朝ベッドから起き上がるのがつらい」という方は、この炎症の蓄積サイクルにはまっている可能性が高いです。
朝起きたときに膝の横の痛みが特に強い、という方はとても多いです。これには、睡眠中に関節液の循環が滞ることと、炎症性物質が関節周囲に蓄積しやすい時間帯と重なることが関係しています。また、長時間同じ姿勢で休んでいると腸脛靭帯や周辺の筋肉が硬くなり、起き上がった瞬間の動作で強い痛みを感じやすくなります。
「夜は少し楽だったのに、朝が一番つらい」という方は、単純な疲労ではなく、しっかりとした炎症が起きているサインだと考えた方がよいでしょう。
膝の横の痛みが悪化していくパターンには、いくつかの共通点があります。まず「少し休めば治る」と思って安静とランニングを繰り返していると、炎症が慢性化してしまいます。次に、痛みを我慢しながら走り続けることで、かばい動作が生まれ、反対側の膝や腰にまで負担が波及していくことがあります。そして、湿布や痛み止めだけで対処し続けると、痛みの感覚が鈍くなってさらに無理をしてしまうという悪循環が起こりがちです。
では、悪化を防ぐためにやってはいけないことを具体的に整理してみましょう。
特に「今は大会が近いから休めない」という気持ちはよくわかります。ただ、無理に走り続けることで炎症が慢性化し、結果として長期離脱につながるケースが最も多いというのが、長年の臨床経験から言えることです。
「冷やすのか温めるのか」はよく聞かれる質問です。ランニング後や運動直後は患部に熱感・腫れがある急性期ですので、アイシング(冷却)が基本です。1回15〜20分を目安に、皮膚を保護しながら冷やしましょう。一方、翌朝のこわばりや慢性期に入ってからは、温めて血流を促す方が効果的な場合があります。
ストレッチについては、炎症が強い急性期に腸脛靭帯を強引に伸ばすことは避けてください。痛みを感じないレベルで、太ももの外側や股関節周辺を優しくほぐす程度にとどめておくことが大切です。
「整形外科に行ったら安静を指示されるだけだった」「しばらく休んで良くなったと思ったら、走り始めるとまた同じ場所が痛くなった」。こういったお声をよく伺います。なぜ繰り返してしまうかというと、根本にある原因が取り除かれていないからです。
長年、膝の横の痛みでお悩みの方を診てきた経験から言えることは、腸脛靭帯炎はひとつの原因で起きるのではなく、複数の要因が積み重なって発症しているということです。
膝の横に痛みが出ているからといって、膝だけをケアしても十分でないことが多いです。腸脛靭帯炎の多くのケースでは、股関節を支える筋肉の弱さ、骨盤のゆがみ、足のアーチの崩れ、そしてランニングフォームのクセなど、身体全体のバランスの乱れが膝への負担を高めています。
たとえば、股関節の外側の筋力が不足していると着地のたびに骨盤が外側に揺れ、その影響がそのまま膝の外側への過剰な負荷として伝わります。足のアーチが低下している場合も、着地衝撃の分散がうまくできず膝外側に余分なストレスが集中しやすくなります。
同じ練習量、同じコースを走っているのに、痛くなる人とならない人がいます。これはまさに、それぞれの身体の構造やバランスの違いが原因です。だからこそ、どこに問題があるかを個別に検査して特定することが、改善への最短ルートになります。「みんなに効くストレッチ」が自分には効かないのは、自分の原因に対応していないからかもしれません。
痛みを悪化させないためのセルフケアとして、いくつか取り組みやすいものをご紹介します。ただし、これはあくまで補助的なケアです。痛みが強い場合や翌朝の悪化が続く場合は、専門家に診てもらうことを優先してください。
横向きに寝て、上側の脚をゆっくりと天井方向に持ち上げ、数秒キープしてゆっくり下ろす動作(サイドライイングアブダクション)は、股関節の外側の筋肉を鍛える基本的なエクササイズです。膝への負担なく取り組めるため、急性期が過ぎた段階でのリハビリとして有効です。左右それぞれ10〜15回を目安に、毎日続けてみましょう。
椅子に座った状態で、痛みのある側の足首を反対の膝の上に乗せ、上体をゆっくり前に倒すポーズは、股関節や臀部の外側をやわらかくするのに効果的です。痛みを感じるほど無理に伸ばす必要はなく、心地よい張りを感じる程度で30秒ほどキープしてください。
歩幅を少し小さくしてピッチ(歩数)を上げるだけで、着地時の膝への負荷を軽減できることがあります。また、着地の際に膝が内側に入りやすいクセ(ニーイン)がないかを確認することも大切です。可能であれば、走っている動画を撮影して確認するか、専門家にフォームを診てもらうのが一番確実です。
「整体って、腸脛靭帯炎に効くの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。ここで少し、当院の考え方をお伝えさせてください。当院では、痛みのある箇所だけをケアするのではなく、なぜそこに負担がかかっているのかという根本的な原因を、3種類の独自検査によって特定することから施術をスタートします。
骨盤の歪み、股関節の可動制限、足のアーチの問題、全身の姿勢バランスなど、個人ごとに異なる原因に対してアプローチするため、「同じ腸脛靭帯炎でも人によって施術内容が変わる」というのが当院の特徴です。
開院以来、膝の痛みで来院された方々と向き合ってきて、ひとつ確信していることがあります。それは、どれだけ丁寧な施術をしても、原因を見誤っていれば改善には向かわないということです。だからこそ当院では、問診・姿勢分析・整形外科的検査を組み合わせた徹底した検査を、施術よりも重視しています。検査の結果を患者さんにわかりやすく説明したうえで、根拠を持って施術を進めていきます。
「痛みをなくすだけでなく、また以前と同じように走りたい」というのが多くの方の本音だと思います。当院ではただ痛みを取るだけでなく、再発予防まで視野に入れた施術計画をご提案しています。どこまでの運動量を目標にするか、大会のスケジュールも考慮しながら、安全にランニングへ復帰するためのプロセスを一緒に考えていきます。
セルフケアだけで対応している間にも、症状が進行してしまうことがあります。次のような状態に当てはまる方は、早めに専門家に診てもらうことをおすすめします。
これらは、症状が慢性化・複雑化しているサインです。「もう少し様子を見よう」という判断が、結果的に回復までの時間を長引かせてしまうことが多いです。
私自身、愛知県内の整形外科や接骨院で16年の臨床経験を積み、2009年に高岡で開業してからも数えきれないほど多くのランナーの方々の膝の痛みと向き合ってきました。「もっと早く来ればよかった」とおっしゃる方が後を絶ちません。一人でずっと悩み続けるより、どうか早めにご相談いただければと思います。あなたのお身体のことを、一緒に真剣に考えさせてください。

