
院長:佐藤お気軽にご相談ください!


ジョギングや長距離ランニングを楽しんでいるみなさんのなかに、膝の外側に痛みを感じているという方はいませんか?走り始めたころは何ともなかったのに、距離が伸びるにつれてジワジワと痛くなってきた、という経験をした方もいらっしゃるかもしれません。
じつはこの痛み、「ランナー膝(腸脛靭帯炎)」と呼ばれるスポーツ障害のひとつです。放っておくと日常生活でも支障が出てくることもあるので、早めに正しく対処することがとても大切なんです。
今回は膝の外側が痛くなるメカニズムから、自分でできるケアの方法、そして当院の施術アプローチまでわかりやすくお伝えします。


長年、整形外科や接骨院での臨床経験を重ねてきた私ですが、ランナー膝で悩む方が後を絶ちません。特に「しばらく安静にしていたのにまた痛くなった」という再発のお悩みが多い印象です。それには必ず理由がある――その根本的な原因を一緒に探っていきましょう
膝の外側に生じる痛みは、医学的には「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)」と呼ばれています。太ももの外側から膝の外側にかけて走る腸脛靭帯という帯状の組織が、繰り返す膝の曲げ伸ばしによって膝の外側の骨と摩擦を起こし、炎症を引き起こした状態のことを指します。ランニング愛好者に非常に多い障害であることから、「ランナー膝」とも広く呼ばれています。初心者ランナーや、急に練習量を増やしたランナーに特に発症しやすい傾向があります。
腸脛靭帯炎には特徴的なサインがあります。当てはまるものはないかチェックしてみてください。
ひとつでも当てはまるなら、腸脛靭帯炎を疑ってみる必要があります。
腸脛靭帯と膝の外側の骨がもっとも強く摩擦するのは、膝が約20〜30度に曲がった角度のときです。ランニング中の着地の瞬間がちょうどその角度にあたるため、歩行よりもランニングで症状が出やすいのです。
距離が伸びるほど摩擦の回数も増えますから、最初は10kmで痛くなっていたのが、だんだん5km、3kmと距離が縮まってくる場合は要注意です。
「走りすぎたから」というのは半分正解で、半分は不正確です。同じ練習量でも膝が痛くなる人とならない人がいますよね。その違いは何か――腸脛靭帯炎は、使いすぎだけでなく、身体の複数の問題が積み重なって起こるものなのです。当院でこれまで多くの方を診てきた経験からも、原因はひとつではなく、いくつかの要素が複雑に絡み合っているケースがほとんどです。
お尻の筋肉(中殿筋・大殿筋)や股関節の外転筋群が弱くなっていると、走るたびに骨盤が左右にブレます。このブレが膝への負担を増大させ、腸脛靭帯に繰り返しのストレスをかけるのです。「膝が痛いのに股関節?」と思うかもしれませんが、膝の外側の痛みの背景にはお尻の筋力不足が隠れていることがとても多いのです。
腸脛靭帯や太ももの外側にある大腿筋膜張筋が硬くなっていると、膝にかかる牽引力が強まります。デスクワークで長時間座っている生活が続くと、この部位はどんどん硬くなりやすい傾向があります。ランナーだけでなく、デスクワーク中心の方が趣味でランニングを始めたとき、特にこの問題が出やすいんですね。
内股気味に着地する「ニーイン」と呼ばれるフォームや、体幹の使い方が弱いために体が横にブレるフォームは、腸脛靭帯への負担を大きく増加させます。体力が落ちてきた後半の走りでフォームが崩れ、そこから痛みが出始めるという方も多くいらっしゃいます。
マラソン大会に向けて急に走行距離を増やしたり、休み明けにいきなりハードな練習を再開したりすると、腸脛靭帯の修復が追いつかなくなります。身体の適応速度を超えたペースで練習量を増やすことが、発症の直接的なきっかけになることも少なくありません。
O脚傾向の方や、足のアーチが崩れて扁平足になっている方は、膝の外側に余分なストレスがかかりやすい構造をしています。シューズのすり減り方が外側に偏っている方は、一度チェックしてみることをおすすめします。
整形外科に行くと、多くの場合「安静にしてください」「湿布を貼ってください」「炎症が落ち着いたらリハビリを始めましょう」という流れになります。もちろんこれは医学的に正しい対応ではあります。ただ、正直に言うと、この流れだけでは再発を繰り返す方がとても多いのです。なぜそうなってしまうのか、わかりやすく整理してみます。
| 治療法 | 効果 | 限界・注意点 |
|---|---|---|
| 安静療法 | 炎症を鎮める | 筋力が低下し、再開時に再発しやすい |
| 湿布・痛み止め | 一時的な痛みの緩和 | 根本原因への対処にはならない |
| 電気・超音波治療 | 血流改善・炎症緩和 | 筋力・柔軟性の問題は残ったまま |
| ストレッチ・リハビリ | 柔軟性・筋力の回復 | 自己流では悪化するリスクあり |
| インソール・シューズ変更 | 着地衝撃の軽減 | 根本の筋力問題が残ると効果は限定的 |
痛みが取れたからといって「治った」わけではありません。痛みが消えた段階は、あくまでも「炎症が落ち着いた」というだけで、原因そのものが解消されていない場合がほとんどです。だからこそ、同じことを繰り返してしまうのです。
専門的な施術と並行して、自宅でのケアを続けることも回復を早めるうえでとても大切です。ここでは日常生活に取り入れやすいケアをご紹介します。
走った後や痛みが強い時期は、患部を冷やすことが基本です。氷のうや保冷剤をタオルで包み、膝の外側に15〜20分ほど当ててください。1〜2時間おきに繰り返すと効果的です。ただし長時間の冷やしすぎは逆効果になることもあるので、時間を守ることを意識してください。
立った状態で痛みのある脚を後ろに引き、そのまま上半身を反対側に倒してみてください。太ももの外側が伸びる感覚があればポジションは合っています。痛みを感じるほど無理に伸ばす必要はありません。じんわりと気持ちよく伸びる程度の強度で、1回20秒~30秒、左右3セットを目安にしましょう。
横向きに寝て、上側の脚をゆっくりと45度ほど持ち上げるサイドライイングヒップアブダクションは、中殿筋を効果的に鍛えられます。ゆっくりと10〜15回、左右3セット行うことで、走行中の骨盤の安定性が向上します。膝が痛くてもこのトレーニングは膝に負担をかけずにできるのでおすすめです。
走行距離の急増は再発の大きなリスクになります。目安として、週あたりの走行距離は前週の10%以上増やさないようにコントロールすることが理想的です。痛みが引いて「もう大丈夫」と感じてもすぐに元の練習量に戻さず、段階的に増やしていくことを意識してください。
当院では、膝だけを診るのではなく「なぜこの膝に痛みが出ているのか」を全身の検査を通じて明らかにするところから始めます。腸脛靭帯炎の原因は人によって全く異なるからです。お尻の筋力不足が主な原因の方もいれば、骨盤のゆがみや足のアーチ崩れが大きく影響している方もいます。ひとくくりに「ランナー膝だから同じ施術で」とはならないのが当院の姿勢です。
国家資格である柔道整復師の資格を持つ院長が、問診から施術まで一貫して担当します。行くたびに担当者が変わって症状をイチから説明し直す、ということがありません。変化を積み重ねながら継続的に対応できることが、根本改善への近道だと考えています。
腸脛靭帯炎で当院にいらした方からは、施術を重ねる中でこのような変化があったというお声をいただいています。
もちろん個人差はありますが、原因をきちんと特定して根本からアプローチすることで、多くの方が「また走れるようになった」という経験をされています。
セルフケアを続けていても、以下のような状態が見られる場合は自己対処の限界を超えているサインです。早めに専門家に相談することをおすすめします。
これらの症状がある場合は、腸脛靭帯炎以外の問題が隠れている可能性も考えられます。まず整形外科で画像診断を受けたうえで、必要に応じて当院にご相談ください。
痛みが強い急性期はランニングを休止することが必要です。ただ、完全に動かないのではなく、膝に負担のかかりにくいプールでの水中ウォーキングや、上半身の筋トレで体力を維持することは可能です。症状が落ち着いてきたら、専門家の指導のもとで段階的にランニングへ復帰する計画を立てることが、安全な回復への道筋になります。
湿布や痛み止めは炎症による痛みを一時的に和らげる効果があります。ただし、痛みが消えることと原因が治ることは別の話です。痛みを感じにくくなった状態で無理に練習を続けると、症状を悪化させるリスクがあります。使用しながら同時に原因へのアプローチを並行して行うことが大切です。
症状の重さや発症してからの期間、個人の回復力によって異なります。軽症で早期に対処できた場合は2〜4週間程度で改善が見られることもありますが、慢性化している場合は数ヶ月かかることもあります。ただし、原因をしっかりと特定して根本から対処することで、回復のスピードは大きく変わります。
骨折や半月板損傷など、重篤な器質的損傷が疑われる場合は整形外科での画像診断が先決です。一方で、整形外科で「安静にしてください」と言われたのに何度も再発する、筋力や姿勢・フォームの問題が背景にありそうだと感じている、という場合は整体でのアプローチが有効なことが多くあります。どちらが正解、という話ではなく、症状の段階や状態に応じて使い分けることが大切です。
膝の外側が痛くなると「また休まないといけないのか」「大会に間に合わないかもしれない」という不安が先に来ることと思います。その気持ち、私もよくわかります。ランニングは単なる運動ではなく、生活の楽しみや目標そのものになっている方も多いですから。
だからこそ、痛みを「我慢して走り切る」でも「ただ安静にする」でもなく、「原因を特定して根本から対処する」という選択をしてほしいと、私は思っています。腸脛靭帯炎は、正しく対処すれば必ず改善できるものです。ひとりで抱え込まずに、気になることがあればいつでも相談していただけると嬉しいです。


遠方にお住まいで、当院への来院が難しい方へ
当院は富山県高岡市にある治療院です。
遠方にお住まいで継続した来院が難しい方に向けて、
ご自宅でできる姿勢ケアや睡眠環境の見直しについてまとめています。