
院長:佐藤お気軽にご相談ください!


朝、ベッドから起き上がって床に足をついた瞬間、「ズキッ」とかかとの上に走る痛み。そんな経験、ありませんか?最初は「少し疲れているだけ」と思っていても、何日も続くと不安になってきますよね。
じつはこの痛み、単なる疲れではなく、アキレス腱周囲炎という症状が原因になっているケースがとても多いんです。放置すると慢性化して、日常生活にも支障が出てくることがあります。
かかとや足まわりの痛みに向き合ってきた経験をもとに、この症状の正体と、なぜ改善しない人が多いのかをお話ししていきます。


「朝だけ痛い」「歩き始めだけ痛い」という症状は、見落とされやすいけれど、身体からの大切なサインです。早めに向き合ってほしいという気持ちから、この記事を書きました
かかとの上の後ろ側、アキレス腱がかかとの骨に付着しているあたりに痛みが出るとき、その多くはアキレス腱とその周囲の組織に炎症が起きています。ふくらはぎの筋肉とかかとをつなぐアキレス腱は、歩く・走る・立つといった日常のあらゆる動作に関わっています。だからこそ、ちょっとした刺激の積み重ねで傷みやすい部位でもあるんです。
この炎症がアキレス腱そのものや、それを包む薄い膜(腱周囲組織)に広がった状態がアキレス腱周囲炎と呼ばれるものです。「アキレス腱炎」と混同されることもありますが、痛みの場所が足首を動かすと少しずれて感じられるのが特徴で、どちらも対処の方向性はほぼ同じと考えていただいて大丈夫です。
以下のような症状が1つでも当てはまる場合、アキレス腱まわりのトラブルが疑われます。
「朝だけ」「歩き始めだけ」という症状が多いのには理由があります。寝ている間にアキレス腱周囲の血流が落ちて組織が固まり、起き上がって急に負荷がかかることで炎症部位が刺激されるからです。温まってくると楽になるのは炎症が消えたからではなく、血流が戻って組織が少し柔らかくなるから。痛みがなくなったからといって治ったわけではないので、ここが見落としやすいポイントなんです。
「使いすぎ」と一言で片づけられがちなこの症状ですが、実際には複数の要因が絡み合っていることがほとんどです。開院以来15年以上、多くの方を診てきた経験から言うと、原因をひとつに絞れるケースはほとんどありません。
ふくらはぎの筋肉の柔軟性が低下していることが、最も多く見られる背景要因のひとつです。ふくらはぎが固くなると、歩くたびにアキレス腱への牽引力(引っ張る力)が増して、じわじわとダメージが蓄積していきます。
加えて、次のような要因も重なりやすいです。
どれかひとつが「犯人」ではなく、いくつかが重なって発症するのが典型的なパターンです。だからこそ「安静にしていれば治る」という対処では、根っこにあるものが取り切れないことが多いんです。
小学生から中学生の成長期に、同じようにかかとの後ろ側が痛む場合は踵骨骨端症(シーバー病)と呼ばれる別の疾患のことがあります。これは成長軟骨に繰り返しの負荷がかかって起きるもので、サッカーや陸上など走る機会が多いお子さんに多く見られます。「成長痛だから仕方ない」と放置されがちですが、適切な対処で回復を早められるので、気になる場合は専門家に診てもらうことをおすすめします。
薬や安静で一時的に痛みが引いて「治った」と判断して運動を再開したら、また痛くなった。そういう方がとても多いです。これはアキレス腱周囲炎が再発しやすい疾患であるということもありますが、それ以上に、痛みが出るほど負担がかかっていた身体の状態を変えないまま元の生活に戻っているから、ということが大きいんです。
かかとの上の痛みが長引いている方に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
それは、「なぜあなたのアキレス腱にだけ負担が集中しているのか」を明らかにすることが、改善への最初のステップだということです。同じ仕事をしていても、同じスポーツをしていても、アキレス腱の痛みが出る人と出ない人がいます。この差はどこから来るのか、ひとりひとりの身体の状態をきちんと検査で確認しなければ、答えは出てきません。
かかとの痛みだけを診ていても、その背景にある股関節の動き、骨盤の傾き、背骨のバランスといった要素が見えてきません。足首まわりのトラブルは、意外なほど上半身の姿勢や体幹の使い方と連動していることが多いんです。
当院では姿勢分析・関節可動域検査・整形外科的検査を組み合わせて、痛みが出ている本当の原因を探っていきます。検査なしに施術を始めることはしません。なぜなら、原因を正しく把握しなければどんな施術も「当てずっぽう」になってしまうからです。
Q. 朝だけ痛いのですが、放置しても大丈夫ですか?
朝だけの痛みは初期〜中期のサインであることが多いです。「温まれば痛くない」状態のうちに対処するのが最も早く回復できるタイミングです。放置して慢性化すると、安静にしていても痛みが続く状態になることがあります。
Q. 自分でできるストレッチや対処法はありますか?
ふくらはぎのストレッチは有効ですが、炎症が強い時期に無理に伸ばすと逆効果になることもあります。また、誤ったフォームで続けると症状を悪化させる場合も。まず専門家に状態を確認してもらってから、安全なセルフケアを教えてもらうのが確実です。
Q. スポーツを続けながら治すことはできますか?
症状の程度によります。軽度であれば強度を落としながら継続できるケースもありますが、痛みを感じながらの運動継続は回復を遅らせるだけでなく、最悪の場合アキレス腱断裂のリスクを高めます。まず状態を診てもらって、復帰の見通しを立てることをおすすめします。
Q. 子どもがかかとの後ろを痛がっているのですが…
成長期のお子さんの場合、踵骨骨端症(シーバー病)の可能性があります。「成長痛だから仕方ない」ではなく、適切なケアで回復を早めることができます。スポーツを楽しみ続けるためにも、早めに診てもらうことをおすすめします。
アキレス腱まわりの炎症が悪化した場合、最も怖い結末はアキレス腱断裂です。断裂すると手術が必要になり、完全な回復まで数ヶ月を要します。スポーツ復帰はもちろん、日常生活にも大きな制限が生じます。
また、かかとの痛みをかばいながら歩き続けることで、膝・腰・股関節といった他の部位にも余計な負担がかかっていきます。一か所の痛みをきっかけに、全身のバランスが崩れていくというのは、決して大げさな話ではありません。
痛みが「まだ我慢できるレベル」のうちに、きちんと向き合っていただきたいと思います。
かかとの上の痛みで悩まれている方の多くは、どこに相談していいかわからないまま時間が経ってしまっています。整形外科に行っても「安静にしてください」で終わった、マッサージに行っても変わらなかった、という声をよく聞きます。それでも諦めないでほしいです。原因が特定できれば、改善への道は必ず開けます。一人で抱え込まず、どうかお気軽にご相談ください。

