
院長:佐藤お気軽にご相談ください!


ある日突然、洗濯物を干そうと手を伸ばしたとき、肩に鋭い痛みが走って腕が上がらない状態になったことはありませんか。棚の上のものを取ろうとしたとき、着替えのときに腕が思うように動かせなくて、思わず顔をしかめてしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
「四十肩か五十肩かな」と軽く考えているうちに、いつの間にか症状が悪化していた、というケースは実はとても多いのです。そのままにしておくと夜も眠れないほどの痛みに発展することもあり、早めに原因を知っておくことがとても大切です。
今回は、肩や腕の痛みに長年向き合ってきた院長の立場から、腕が上がらなくなる本当の理由と、その改善に向けたヒントをできるだけわかりやすくお伝えしていきます。


「もう少し様子を見れば治るかな」と思いながら何か月も経ってしまう患者さんがとても多いんですね。でも、放置するほど関節が固まって改善に時間がかかってしまう。早めに原因を知って、早めに動き出してほしいと思っています
「腕が上がらない」という症状は、ある日突然あらわれることもあれば、じわじわと可動域が狭まっていくこともあります。どちらのパターンであっても、その背景には肩まわりの筋肉・腱・関節のどこかに何らかの問題が起きているというサインです。肩関節はからだの中でも特に動きの幅が広い関節であるぶん、それを支える組織も多く、どこに問題があるかによって症状の出方も大きく違ってきます。
腕を動かそうとすると痛みが走るため、無意識にからだが「動かさないようにしよう」と防御反応を起こしている状態です。これが長く続くと、関節まわりの組織が固まっていき、痛みがなくなった後も動かしにくさだけが残ってしまうことがあります。
最初は痛みの問題だったはずが、いつの間にか「動かし方の問題」に変わってしまう。これが症状をこじらせる大きな原因のひとつです。
関節包(かんせつほう)と呼ばれる関節を包む袋状の組織が炎症を起こして癒着し、関節そのものの動きが制限されてしまっている状態です。これは五十肩(肩関節周囲炎)の典型的な状態で、痛みが出る前から少しずつ進行していることも少なくありません。
肩関節を安定させるためにはたらく腱板(けんばん)という4つの筋肉の腱が、加齢や使いすぎによって傷んでいる状態です。腱板が損傷すると、特定の角度で腕を上げたときにだけ痛みが出る「インピンジメント」と呼ばれる状態が起きやすく、整形外科で診てもらっても「異常なし」と言われてしまうケースもあります。
「五十肩」「四十肩」という言葉はよく耳にすると思いますが、これは正式な病名ではなく「肩関節周囲炎」という状態の通称です。40代〜50代に多く発症することからこの名前がついていますが、30代や60代以降に起きることも珍しくありません。発症の仕組みは完全には解明されていませんが、加齢による肩まわりの組織の変性、血行不良、姿勢のくせなどが重なって起きると考えられています。
五十肩の症状は大きく分けて3つの段階をたどることが多いです。それぞれの時期によって適切な対処法も変わってくるため、今自分がどのステージにいるかを知ることがとても重要です。
自然に治るケースもありますが、放置した場合は拘縮期が長引いて1〜2年以上症状が続くこともあります。早めの対処が回復期間を大きく短縮してくれます。
「腕が上がらない」「腕に違和感がある」という症状が、五十肩以外の原因から来ているケースも少なくありません。症状が似ていても原因が違えば対処法もまったく変わってきます。自己判断で放置するのではなく、正確な原因を把握することがとても大切です。
首の骨と骨の間から出ている神経が、椎間板の変性や骨棘(こつきょく)によって圧迫を受けると、肩から腕にかけての痛みやしびれ、力の入りにくさとして症状があらわれます。「肩が痛い」と思っていたら実は首が原因だった、というケースは臨床の現場でもよく経験します。
腱の中にカルシウムが沈着して炎症を起こす状態で、突然激しい痛みとともに腕がまったく動かせなくなることがあります。五十肩と症状が似ていますが、発症がより急激で、痛みの強さも非常に激しいのが特徴です。レントゲンで確認できることが多いため、整形外科での診断が有効です。
肩関節を支える腱板が完全に断裂してしまっている状態です。加齢による変性が進んだ状態での軽い転倒や、荷物を持ち上げるなどのちょっとした動作がきっかけで断裂することもあり、腕に力が入らない・特定方向にのみ動かせない、という症状がみられます。
症状の状態によって、やっていいことと避けるべきことが変わります。特に炎症が強い時期に誤ったケアをしてしまうと、症状が悪化することもありますので、現在の状態をしっかり把握した上でケアを行うことが大切です。
痛みが強く、安静にしていてもズキズキするような時期は、まず安静を優先することが基本です。この時期に「少し動かした方がいいかな」と考えて無理にストレッチをしてしまうと、炎症を悪化させてしまうことがあります。アイシング(保冷剤などで冷やす)が有効なケースもありますが、やりすぎは血行を過度に妨げることがあるため注意が必要です。
炎症が落ち着いて関節が固まってきた時期には、ゆっくりとした可動域訓練が効果的です。例えば、テーブルに手をつき前傾した状態で腕を振り子のようにゆらゆらと揺らす「コッドマン体操」は、関節に過度な負担をかけずに動かすことができる方法として知られています。ただし、痛みが強く出るような場合は無理をせず、専門家の指導のもとで行うことをおすすめします。
洗濯物を干すときは、物干し台の高さを下げて腕をなるべく高く上げなくてもよい環境に変えるだけで、痛みの刺激を大幅に減らすことができます。棚への手伸ばしは踏み台などを活用して肩より上に腕を上げる動作を減らすこと、就寝時はタオルを丸めて肩の下に当てるなど、肩への負担を分散させる工夫も有効です。
整形外科や整骨院に通ったけれど、なかなか改善しない。そういったお声はとても多いです。その大きな理由のひとつは、「症状が出ている場所だけを診ている」ということにあります。肩の痛みや動きの制限は、肩そのものだけでなく、首の歪み・胸郭の硬さ・体幹のバランスなど、全身のつながりの中で起きていることがほとんどです。
当院では、姿勢分析・関節可動域・整形外科的検査の3種類の独自検査を組み合わせて、症状の本当の原因がどこにあるかを丁寧に探ります。検査なしに施術を始めるのではなく、「なぜ腕が上がらないのか」の根本をしっかり特定したうえで施術計画を立てていきます。
例えば、猫背や巻き肩の姿勢が習慣になると、肩甲骨の動きが制限されて肩関節への負担が慢性的に高まります。また、胸椎(背骨の胸の部分)の硬さが肩の可動域を下げているケースも少なくありません。表面的な症状だけを追うのではなく、姿勢・骨格・筋肉のバランスを全体的に整えることが、再発を防ぐ根本改善につながります。
50代の女性で、半年以上にわたって左腕が肩より上に上がらない状態で来院された方がいらっしゃいました。整形外科でも「五十肩」と診断されてリハビリを続けていたものの改善が見られず、日常の家事もつらいとのことでした。当院で検査を行うと、頸椎と胸椎の連動性の低下と、肩甲骨まわりの筋肉の強い緊張が見られました。肩だけでなく首・背中・肩甲骨への施術を組み合わせて行い、8回の施術を経て可動域が大きく改善、洗濯物を普通に干せるようになったとお喜びの声をいただいています。
次のような状態があると、自然回復が難しかったり、別の疾患が隠れているサインであることがあります。気になる症状がある方は、ひとりで抱え込まずに早めに専門家に診てもらいましょう。
特に「腕に力が入りにくい」「両側に症状が出ている」という場合は、神経や全身的な疾患が関わっている可能性もありますので、整形外科の受診と並行して専門家への相談をお勧めします。
「そのうち治るかな」「年齢のせいだから仕方ない」と思って放置してしまうことで、関節がどんどん固まり、改善に何倍もの時間と労力がかかってしまうことがあります。年齢は関係ありません。からだは正しいアプローチをすれば必ず応えてくれます。
洗濯物を何気なく干せる日常、棚のものをさっと取れる何でもない毎日、それを取り戻すためのお手伝いをするのが私たちの仕事です。一人で悩まずに、どんな些細なことでも気軽にご相談ください。

